エロスのエネルギーで内なる女神を開く“ヨニマッサージ”(2022年8月号)

ハートと性器はつながっている

“エロス”とはいやらしいもの、というのは大きな誤解です。ギリシャ神話の愛の神の名でもあるエロスは、愛とハートにつながった神聖なエネルギーのこと。エロスは魂を高揚させ、宇宙や全体性とのつながりを取り戻し、生きる喜びや生命の躍動を与えてくれる高波動のエリクシールなのです。

全体性との分離からくるさまざまな不調や低迷をダイレクトに解消するのが、タントラマッサージのひとつである「ヨニ(膣)マッサージ」。性器はハートとつながっていて、ハートを開く鍵でもあるのです!エロスによってトラウマやカルマも解放し、内なる女神を目覚めさせていくヨニマッサージとはどのようなものなのか、タントラヨガ・セラピストのカイホーさんに取材しました。

お話◎カイホーさん 取材・文・構成◎樋口由夏、編集部 イラスト◎ツグヲ・ホン多


タントラは宇宙とのつながりを直接体験できるスピリチュアルシステム

タントラは、セクシュアリティに愛や意識、浄化をもたらすシステム(教え)です。いろいろなスピリチュアルの教えがありますが、タントラは本当の自分とつながる、宇宙とつながる、そしてその真実を「直接体験できる」ことが大きな特徴です。

 タントラは多くのスピリチュアルの教えの中でも避けられてきた「性」を扱い続けてきました。それは、性エネルギーが私たち人間にとって、とても大切なエネルギーだからです。ただ、タントラは性だけを扱っているわけではありません。タントラの道では原則として、人生のすべてを肯定します。そして、宇宙のすべては神聖な叡智によって密接につながっていると考えます。セクシュアリティは、あくまでもタントラの中のひとつの要素なのです。

 私がタントラに出合ったのは、7年ほど前です。私は学生時代、内向的な性格で人間関係に悩んでいました。そこでスピリチュアルに出合い、「幸せとは、何かを手に入れたり、何かを達成して得たりするものではなくて、自分の中にすでにあり、それを隠しているにすぎない」と感じるようになりました。そこからさまざまなスピリチュアルを学び、探求していきましたが、なかなかしっくりくるものに出合えませんでした。

 タントラに出合ったのは、23歳頃のことです。私の中で、もともと「性」は特別なものでした。「性」には、ただ気持ちよくなるためとか、本能的なものだけではない、何か神聖な宝物のようなものが潜んでいるとずっと考えていたのです。でも、現代社会では、性は本能的なものとして扱われています。私が知りたかった性というものの真実は、誰も教えてくれませんでした。

 そんなとき、タイでタントラヨガ学校が開校されると知り、「これこそが私の人生で歩む道だ」とはっきりわかったのです。そこから本格的にタントラヨガを学んでいき、セラピストとして活動するようになりました。

神聖な性エネルギーとつながるタントラマッサージ

タントラでは、あらゆるものの中に神聖さを見出すことを大切にしています。私たちの性エネルギーも神聖なものです。もし性エネルギーが純粋でなければ、その不純さは人生のあらゆる面に反映されるでしょう。

 そのためタントラでは、セクシュアリティに純粋さと愛をもたらすように浄化を行なう、さまざまな実践方法があります。そのひとつがタントラマッサージです。タントラマッサージは、性的なマッサージだと勘違いされることがありますが、そうではありません。何よりも、セラピストとマッサージを受ける人との信頼関係を大切にしています。

 実際のタントラマッサージは、オイルを使って体全体をマッサージします。ほかの一般的なマッサージは、体の不調を治すなど体の一部分を対象にしますが、タントラマッサージではその人全体、その人のエネルギーシステムを対象にしています。その人の体、性エネルギー、感情、スピリチュアリティ、すべてに調和をもたらすように行ないます。

 タントラマッサージの中でもとりわけ重要なものに、「ヨニマッサージ」があります。「ヨニ」とは、サンスクリット語で膣のこと。現代社会ではタブーとされているため、誤解されやすいのですが、だからこそ、現代の女性がヨニマッサージを受ける意義はとても大きいと思います。

 女性の体の中で、どの部分よりも女性性とつながっているのはヨニです。ヨニとのつながりは女性性とのつながりといえます。ヨニマッサージによって、自然に心からヨニとつながり、潜在的な女性性の力ともつながることができるのです。

 誰の中にも男性性と女性性があります。タントラで、男性性や女性性ときれいにつながることは、エネルギーや活力、魅力の扉を大きく開き、自分という存在を深く愛せるようになっていきます。

現代人はみんなある程度の性的トラウマを抱えている

ヨニマッサージを行なうと、性器に滞ったエネルギーが全身に流れ、バランスが調います。また、性的な緊張を手放したり、ストレスから解放されたりするなど、性に対してポジティブになれます。

 性エネルギーは「感情」とつながっています。感情を言い換えれば、物事を感じる能力のこと。たとえば深い悲しみや怒りの感情とずっと向き合わずにいると、物事を感じる能力が浅くなってしまいます。悲しみを感じることができなければ、深い喜びも感じられなくなってしまいます。

 ヨニマッサージにより、性的なトラウマも解消されていきます。性的トラウマとは、たとえばレイプのようなショッキングな出来事だけを指すのではありません。トラウマとは「傷」のことです。傷があるということは、調和的な状態から離れているということ。つまり、ハートから性が離れている状態です。

 現代社会では、性はハートから完全に切り離されたものとして教わります。性がハートから切り離されていると、自分の中に「分離」が生じます。そう考えると、性をハートとは関係にないものとしてとらえている現代人は皆、性に対して何らかのトラウマを抱えているといっても過言ではないのです。

ありのままを感じると痛みは消える

性エネルギーは生命のエネルギーです。私たち人間はみんなセックスをすること、つまり性エネルギーによって生まれてきました。性エネルギーは私たちの根っことなる、大事なエネルギーです。現代人の多くは、無意識に自分の性エネルギーを抑えています。

 性にブロックがあると、生命エネルギーをブロックしていることになり、人生にもたくさんのブロックが出てきます。たとえば、楽しいことがあっても、心から喜び、楽しむことができなくなってしまいます。

 タントラマッサージの大切な要素は、「自分のことをありのままに感じること」。性はもともとハートとつながっているものですが、同時に、性器はハートを開く鍵になります。ハートに何か昔の傷があったとき、ハートを閉じていれば痛みを感じないで済みます。多くの人はハートを閉ざし、痛みを感じないようにごまかしています。でも、そのままでは本当の喜びを感じることができません。

 タントラマッサージでハートが開くことで、封印していた痛みが出てくることがありますが、その痛みをありのままに感じることによってその痛みが癒え、調和が生じ、ポジティブなものに変容していきます。 

性器はハートとつながっているので、性器にやさしく触れることは、ハートを開く鍵になります。性エネルギーは強いエネルギーですが、性器に残ってしまうと役に立つことがありません。性エネルギーがハートの燃料になると、人は自然に輝き始めるのです。


ヨニマッサージの意義

 タントラマッサージは、セラピストの“ 在り方”が最も大事。神聖な宇宙とつながって一体化するための、日頃の瞑想やヨガは欠かせません。そして、やり方にマニュアルはありません。その人によって抱えている傷や思いが違うため、マッサージの内容も変わります。もちろん、ある程度は決まった流れがありますが、いまその人に必要なものを、直感で宇宙が教えてくれます。

 ヨニに触れることに不安を覚える方もいるかもしれませんが、セラピストが女性器に対するとき、女神のように敬意を持って接しています。セラピストにとっても毎回が新しい学びであり、喜びでもあります。(カイホーさん)

1.身体的なエネルギーの流れを調える

股間、会陰、性器は大切なエネルギーの線が多く通っている繊細な体の部分。ふだんのマッサージで触れられることがないため、エネルギーがそこで滞りがち。すると全身に悪い影響を与えます。ヨニマッサージでは、股間、会陰、性器に溜まったエネルギーがきちんと流れるようになり、全身のエネルギーの流れも自然によくなり、バランスが調います。

2.性的緊張とトラウマを手放すため

思いやりの空間でヨニマッサージを受けると、ヨニや下腹部に溜まった感情エネルギーが出て、リラックスでき、解放につながります。深い感情の解放が起こって、マッサージの最中に涙がこぼれることもあります。心の準備に沿った解放が起こるため、感じたくない感情の爆発が急に起こってしまうのではないかと心配する必要はありません。

3.高揚した性エネルギー( エロス)とつながり、魂を癒すため

タントラマッサージにより、エロスを体験できます。エロスは、愛とハートとつながった「神聖な性」のことをいいます。本能的な性エネルギーは緊張を伴う分離したエネルギーですが、エロスは全体性や心とつながっていて空のように広く、甘美でリラックスした性エネルギーです。そして、エロスは心に活気を与え、魂や体に深い癒しをもたらします。

4.ヨニ自体や女性性と ハートを開くためつながるため

女性の体の中で最も女性性とつながっているヨニ。ヨニとのつながりは、女性性とのつながりといえます。ヨニマッサージによって、潜在的な女性性の力ともつながることができます。男性性と女性性は宇宙の電極のようなもの。そことつながることで、自分の存在の中のエネルギーの流れとも深くつながり、エネルギーや活力、魅力の扉を大きく開きます。

5.ハートを開くため

性器はハートとも親密につながっています。肌はハートとつながっているので、愛と思いやりを伝えるには、タッチは優れた手段です。なかでも性器へのタッチは、ハートを開く特別な鍵になります。性器に愛と思いやりをもって触れると、性エネルギーは自然にハートへ流れ始め、ハートを開きます。

6.ストレスを手放し、深くリラックスするため

一般的なマッサージは体をリラックスさせる効果がありますが、タントラマッサージやヨニマッサージではその効果が何倍も深いものになります。なぜなら、タントラマッサージは神経のエネルギーだけでなく、感情エネルギーや性エネルギーのバランスも整えるからです。

7.性に対してポジティブになるため

性に対して恥ずかしさや罪悪感を持っている人はたくさんいます。一方、タントラから見れば、性エネルギーはとても大切で、とても素晴らしいものと見なされています。性エネルギーが調和して流れると、物事を楽しむ力にもなります。そのうえ、性エネルギーは創造力、愛、努力、知性、意識などの力の源にもなるのです。

神聖な性である「エロス」を純粋に楽しむ

タントラマッサージを受けた方のほとんどが、愛とやさしさを感じてハートが開いていきます。そして性と調和的につながることができ、癒しのエネルギーを感じます。

 そしてこのマッサージにより、「エロス」を体験できます。日本語でエロいという言葉は変態の意味合いで使われますが、エロスは本来、ギリシャの愛の神を指しています。そこから、愛とハートにつながった神聖な性に対して使う言葉になりました。エロスは高揚した性エネルギー。エロスのエネルギーの流れは心に活気を与え、深い癒しの効果をもたらすのです。

 神聖なエロスは、性を生命エネルギーとしてありのままに楽しみます。純粋で素晴らしい癒しのエネルギーは、セックスの相手がいなくても感じることができるものです。

 それに対して、アダルトビデオやポルノなどは「本能的な性エネルギー」に基づいています。本能的な性エネルギーはハートと切り離され、調和的な状態ではない、「分離」のエネルギーそのものです。

本能的な性エネルギーには、「オーガズムを感じたい」「相手を喜ばせたい」「セックスをしないと嫌われる」など、何かしらの目的や理由が隠れています。それは、セックスをする相手から何かが欲しい、奪いたい、という欠乏感や不足感から来ているもので、「つながり」に基づいたものではありません。

 これはタントラから見ると、エロスとは正反対のもの。でも本当は、私たちはどこかで性エネルギーに神聖なものがあると、直感的に知っているはずなのです。タントラマッサージでは、マッサージを行なう人と受ける人、という立場ではなく、セラピストが宇宙の導管となり、ハートを開き、平和、喜び、エロスとつながって行ないます。タントラマッサージを体験することによって、忘れていたエロスを思い出すことができるのです。

日本人は聖なる性を生かせる日常のすべてにエロスがある

いままで海外でたくさんのセッションをしてきました。その中で、国によって性に対する向き合い方が違うと感じてきました。たとえばヨーロッパの人々は表面的には性に対してとてもオープンですが、じつはとても厳しかったキリスト教の長い歴史によって、人々の中に性に対して無意識的なブロックがたくさんあるのです。

 一方、日本人はその逆です。現代日本は性のことをタブーに扱っていますが、古の日本では性はもっとおおらかで自由なものでした。日本の人々は意識的には性に対して恥ずかしく思ったり、性ブロックを持ったりするように感じるかもしれませんが、深いところではエロスにとてもつながりやすいのです。

表面的には忘れているかもしれませんが、恥などを手放し、神聖な性を生かす能力があるのです。だから私は日本でこそ、タントラを行なうことに意義があると感じているのです。

 セラピストは日常生活でもエロスとつながっています。エロスとつながり続けることは、生涯にわたって大事なことです。自分の中のエロスに気づけば、何をするときもエロスを生かすことができます。

たとえば、花を見ても、その中にエロスを感じることができる。見るものすべてに官能性があることがわかるのです。なぜなら、すべてはつながっているからです。それがタントラです。日常生活にタントラを生かして、女性性を開いていきましょう。


タントラヨガ・セラピスト、SUNDARI YOGA代表
プレム・カイホーさん Kaiho Prem

Profile
ぷれむ・かいほー◎ベルギー生まれ。大学在学中からスピリチュアリティを探求。OSHO のコミュニティやタイ仏教の寺院に住んだあと、タイのチェンマイでMahasiddha Yogaタントラヨガ学校に出合い、タントラヨガの道へ。タントラヨガを始める前にマッサージセラピーの勉強をしていた経験もあり、タントラマッサージセラピーも学ぶ。その後、デンマークでのタントラヨガティーチャートレーニングに参加。立教大学に留学、日本語も堪能。2022年7月、本格的に東京でタントラヨガ学校「SUNDARIYOGA 」を開校。https://tantrayogajapan.com


 

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