
前回は、物理学の最先端でパラレルワールドをひも解く鍵となる、「超ひも理論」についてお話しいただきました。今回は高次元世界を物理学で説明すべく、世界でもっとも美しい実験といわれる「二重スリットの実験」から導かれる不思議な世界について解説していただきます。「見ること」によって影響を与えるこの世界の謎に迫ります。
文◎周藤丞治さん 構成◎編集部
第9回 量子論は意識の科学?
誤解されている量子論とは
前回まで、高次元世界の物理学とスピリチュアルの接点について、いろいろな角度からお話ししてきました。聞き慣れない話も多かったと思いますが、皆さんのスピリチュアルな感覚とつながる部分を見つけていただけていたら、嬉しく思います。
意識や霊性を物理学の枠組みに持ち込むには、物質世界の外にある世界が必要だというのが私の理解です。私はこれを高次元世界と表現しています。2023年10月号にてご紹介した湯川秀樹の素領域理論であれば、素領域(物質が存在できる領域)の外と表現されます。
一方で、スピリチュアル業界では量子論との接点を強調する風潮があります。量子論は物理学で初めて、物質の現象と人間の認識について語った理論であり、「意識や思考は現実に影響を及ぼす」というスピリチュアルな考え方と結びつくのは、私も理解できます。
しかし、量子論が語れるのは、あくまで物質世界の中だけです。それにもかかわらず、意識や霊性について語れるかのように誤解されていることが、気になっておりました。
私がこれからお話しすることで、気を悪くする方がいらっしゃるかもしれません。ただ、私としては何も批判するつもりはなく、物理学の博士号を持つ者として、量子論が描く物質世界をスピリチュアルな視点を入れて話したいと考えています。
粒子のふる舞いと人間の意識
量子論で「人間の意識が物質の現象に影響を与える」例として、よく挙げられるのが二重スリットの実験です。図1のような絵を見たことがある方は多いかと思います。
2つのスリットに向けてボールを投げれば、スリットを抜けたまっすぐ先にボールが届きますが、投げるものが光子(光の粒子)や電子などの粒子になると、そうはなりません。1つの粒子が波のように広がって、2つのスリットを同時にくぐり抜け、それらの波がたがいに強め合ったり弱め合ったりしながら、スリットの先まで届くのです。
では、2つのスリットに装置を取り付けて粒子を観測できるようにしたら、1つの粒子が同時にくぐり抜けている様子を確認できるでしょうか。じつはそれは不可能です。このとき粒子はどちらか一方のスリットを抜ける様子が観測されて、ボールと同じように、スリットを抜けたまっすぐ先だけに粒子が届きます。
このことから、「人間が観測して粒子を認識するかどうかで、粒子のふる舞いが変わる」といわれることがあります。つまり、人間の意識が物質に影響を及ぼすというのです。
粒子は本来の姿ではない
しかしながら、量子論のその後の発展を見れば、量子論が本当に語っていることは、別のところにあるように見えます。それは、粒子の姿でとらえられる世界(物質世界)は、この世界のほんの一部でしかない、ということです。
粒子は本来の姿ではなく、その奥にもっと本質的な姿があるのです。これは「場」と呼ばれ、場の量子論という理論で表現されます。次回は、場の量子論が語る不思議な現象について、ご紹介します。
物理学者
周藤丞治さん
Profile
すとうじょうじ◎高次元世界の存在たちとの交流や、科学者、哲学者、宗教者、経営者たちとの分野を超えた対話から得られてきた、大宇宙に関する理解や新しい文明構築のヒントを、関心ある方々に向けて発信するために活動している。著書『いざ高次元世界へ』『9次元からの招待状』(ともに、きれい・ねっと)。
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